2018/08/11

自己と他者を音楽が溶かすとき





合唱や、
少人数でアカペラの
アンサンブルを歌うとき、


皆で円になって歌うのが
大好きだ。


輪になって歌うことが、
いつの時代かの、
儀式のような感じがしたり、


まるで自分ひとりのために、
皆んなが歌ってくれているような、
不思議な感覚にもなったりする。


各人がしっかり
自分の音に責任を持ちながらも、
他人と調和するための、
ハンドルの遊びのような、
緩みを持っていることで、


個性のぶつかり合いではなく、
個性の美しき共演が生まれる。


魂に響くほど、
美しく歌える瞬間が、
もし一瞬しかなかったとしても、


その一瞬に感じたことや、
自分はどういう意識で
歌っていたかを、
拡大してみると、


そこには、
歌を超えた、
宇宙的叡智みたいなものを、
感じたり、
発見することがある。


自分軸で生きながら、
他者と調和することとは何か、


そういうテーマを、
アンサンブルを通じて、
感覚として
理解する瞬間がある。


だから、
合唱とは奥深く、


美しい声の重なりが、
この世界の中で、
自分軸で生きることの縮図を、
観せてくれる。


ひとつの音楽の中で、
自分と他人の
境界線が分からなくなるほど、
声の響きの渦の中に、
意識が溶けて行くとき、


音楽の持つ
至福と神秘を、


私は、
内側から味わっている。